はじめに:複雑な差異分析、合計額だけサッと出せない?
公認会計士試験の原価計算。価格差異、能率差異、予算差異、操業度差異…と、たくさんの差異を計算しているうちに、「今、自分は何をやっているんだっけ?」と混乱してしまった経験はありませんか?
もちろん、個別の差異を分析することは大切です。でも、特に短答式試験などで、「当期の原価差異の合計額は○○円である」のような択があることもあり、「とにかく原価差異の合計額だけを早く、正確に知りたい!」という場面は意外と多いものです。
この記事では、複雑な個別差異の計算をすべてすっ飛ばし、原価差異の合計額だけを最速で求めるための、シンプルかつ強力な計算方法を解説します。
なぜこの式で計算できるのか?
結論から言うと、原価差異の合計を最も速く計算する方法は、以下の式を使うことです。
総原価差異 = (実際に生産した量にもとづく総標準原価) - (総実際原価)
そもそも原価差異とは、「あるべき姿(標準原価)」と「現実(実際原価)」の差額ですよね。
価格差異、能率差異、予算差異、操業度差異といった個別の差異分析は、その差額の原因を詳しく分解しているに過ぎません。
つまり、分解する前の「全体の差額」さえ分かれば、それが原価差異の合計額になります。個別の原因分析をすべて省略して、スタート(総標準原価)とゴール(総実際原価)の差だけを見てしまうのが、この計算方法のミソです。
3ステップで求める!高速計算法
具体的な計算は、以下の3ステップで行います。
ステップ1:総標準原価を計算する
ここが最も重要なポイントです。総標準原価は、「実際に生産した製品数」を基準に計算します。
「もし、実際に作った個数を、すべて標準通りの効率と価格で製造できていたら、いくらかかったはずか?」という金額です。
総標準原価 = 実際に生産した個数 × 製品1個あたりの標準原価
(製品1個あたりの標準原価の内訳は、標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費の合計です)
ステップ2:総実際原価を計算する
こちらは問題文で与えられている数値を合計するだけです。「実際に、トータルでいくらお金がかかったか?」という金額ですね。
総実際原価 = 実際直接材料費 + 実際直接労務費 + 製造間接費実際発生額
ステップ3:ステップ1からステップ2を引く
最後に、計算した2つの金額を引けば完了です。
総原価差異 = 総標準原価 - 総実際原-価
- 計算結果がプラスなら → 有利差異(貸方差異)✨
- 計算結果がマイナスなら → 不利差異(借方差異)😥
具体例で見てみよう
簡単な例で計算してみましょう。
【問題の前提】
- 製品1個あたりの標準原価: 8,800円
- (内訳:標準材料費3,000円、標準労務費5,000円、標準間接費800円)
- 当月の実際生産量: 100個
- 当月の総実際原価の内訳:
- 実際材料費:310,000円
- 実際労務費:490,000円
- 製造間接費実際発生額:95,000円
【計算】
- ステップ1:総標準原価を計算 「もし、実際に作った100個を、すべて標準通りに作れていたら?」
100個 × 8,800円/個 = 880,000円 - ステップ2:総実際原価を計算 「実際にトータルでかかった費用は?」
310,000円 + 490,000円 + 95,000円 = 895,000円 - ステップ3:差額を計算
880,000円(標準) - 895,000円(実際) = -15,000円
【結論】
原価差異の合計は 15,000円の不利差異(借方差異) である。
注意点:絶対に間違えてはいけないポイント ⚠️
この計算で最も多い間違いは、ステップ1の総標準原価を計算するときに、基準生産量(予算上の生産量)を使ってしまうことです。
必ず「実際生産量」を使ってください。「実際にかかったコスト」と比較するのですから、比較対象の「あるべき姿」も「実際に作った量」に対してあるべき姿でなければ、公平な比較になりません。
この方法を使えば、複雑な個別差異を計算する手間が省け、大幅な時間短縮と計算ミスの防止につながります。ぜひマスターして、試験で役立ててください!

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